「気づき」は準備された心に訪れる ― 経営者に求められる“課題の見える化”と“学びの感度”

生活の中で、今まさに必要な情報や人との出会いが身の回りに起きている――そんな感覚を持たれた事はないですか。にもかかわらず、その「必要なもの」との出会いに気づかないで通り過ぎてしまうのは、自分自身がその情報を受け取る準備ができていなかったからかもしれません。

私たちは、生きていく中では「選択」の連続です。常にどちらかを選ばなくてはなりません。特にビジネスの経営という立場になると、連続する問題の解決が求められています。しかし、すべてを自分一人で解決しようとする必要はありません。他社の事例や異業種の取組みからヒントを見つけ出すことができるからです。自社の視点だけにとらわれていては、考えが堂々巡り陥り発想の広がりが生まれずに変化が起きていることにも鈍感になってしまいます。環境の変化や制度の変化、行政の支援など私たちのビジネス環境は常に変化しています。


例えば、資金繰りに困っている経営者が、交流会で出会った経営者の話から補助金制度を上手く利用して資金確保できた話を聞く事ができました。その経営者からの紹介で、資金繰り専門のコンサルタントの紹介から、現在の融資返済のリスケを行い、さらに助成金活用を併用することで資金確保ができた例もあります。

また、ある中小製造業の経営者は、コロナ禍で大口取引先を失い、大きな危機に直面しました。落ち込む中で参加した小規模な経営者交流会で、「自社商品を直接エンドユーザーに届けるD2C(Direct to Consumer)モデル」への挑戦を語るベンチャー経営者と出会います。最初は自分には関係のない話だと思っていたものの、自社工場の技術力を活かしてOEMではなく自社ブランドを立ち上げる可能性に気づき、今ではオンライン直販で一定の成果を上げるようになりました。


この経営者にとって、交流会での出会いは偶然だったかもしれません。しかし、もし彼が「新たな打ち手はないか」「次の一歩が必要だ」と真剣に考えていなければ、その話はただの“雑談”として流れていたことでしょう。つまり、自分自身が問題を認識し、答えを探す姿勢があったからこそ、目の前の情報が「気づき」へと変わったのです。

このような気づきは、あらゆるビジネスの場面に起こっています。市場が急変する今の時代で従来の考え方や発想に縛られていては、思わぬチャンスを逃してしまいます。コロナ禍を経験した私たちは、そのことを身に染みて感じてきました。

他社の体験談に耳を傾け、自社と照らし合わせながら応用の可能性を探る。この姿勢こそが、経営者にとっての『見えない資産』であり、ビジネスの柔軟性と持続性を支える大きな要素です。

だからこそ、自らの課題を整理し、今必要な情報や人材がどのようなものなのかを見極める「準備」が必要です。準備された心にこそ、必要なものが“情報”として入ってきます。経営者自身がアンテナを高く保ち、必要な場に身を置くことで、自然と次の展開が見えてくるものです。
未来を切り開くカギは、外にあるのではなく、自分の内側にあります。そしてそれを引き出すためには、他者の経験に学ぶこと、そしてそれに気づく「準備」が、何よりも大切なのです。

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